本記事では、FDPの仕組みやSNS上での評判、利用する上でのリスクなどをお伝えします。
FDP(Fantom Diffusion Project)は、日本人を対象に集客を行っているファントム(FTM)のステーキングサービスです。
サービス開始からすでに1年以上経過していますが、X(エックス)旧TwitterなどのSNS上では、「怪しい」「詐欺」という声が多数派となっています。
目次
FDPは非公式のステーキング
FDP(Fantom Diffusion Project)は簡単にいうと、FDP運営者がお金を集めてファントム(FTM)をステーキングし、収益を分配する仕組みです。
ステーキングとは
ステーキングとはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)の仮想通貨で採用される仕組みで、ブロックチェーンの維持に貢献する対価として報酬を得ることを指します。また、仮想通貨を貸し出して報酬を得られるサービスをステーキングと呼ぶこともあります。
ユーザーがファントムに直接ステーキングするのではなく、非公式のFDP運営者を経由するのが特徴です。そのため、この運営者が詐欺ではないか、信頼できるかどうかが問題になります。
また、出資金額の全てがファントムの購入に充てられるのではなく、20%または40%が広告費用に回される仕組みになっています。
運営はネットワークビジネスを推奨
ユーザーはFDPに参加すると、購入時のファントムのレートに応じた「Fantom Point(FP)」を受け取ります(1FP=1FTM)。このFPの保有量に応じたステーキング報酬を得ることができ、ロックアップ期間(運用期間)が終了するとFPをファントム(FTM)に交換できます。なお、ステーキングのロックアップ期間は1年間です。
もしFDP参加時よりファントム価格が上昇していた場合、ステーキング報酬に加えてキャピタルゲインも得られます。
しかし、出資した全額がファントムの購入に回されるわけではありません。紹介報酬を受け取らない「投資家プラン」では80%、他のユーザーを勧誘して紹介報酬を受け取る「ビジネスプラン」では60%がファントムの購入に充てられ、残りは広告報酬に使われます。
投資家プラン | ビジネスプラン | |
---|---|---|
広告報酬 | 受け取れない | 受け取れる |
ファントム購入 | 80% | 60% |
広告報酬原資 | 20% | 40% |
個人でステーキングする場合、原資全額をファントムの購入に充てられます。一方、FDPでは原資の20%もしくは40%が広告費用に回されるため、その分得られるステーキング報酬が少なくなってしまいます。
このデメリットは明らかなので、FDP運営も勧誘を行い、紹介報酬を受け取るビジネスタイプを選ぶことを推奨しています。
もちろん、ビジネスタイプを選択することをオススメしています。ステーキングは個人でも行うことが出来るが、複雑な設定や英語表記のwebページに慣れないなどの理由があれば投資家プランでの参加も検討してください。
FDP公式サイト – より引用
FDPで通常のステーキングよりも利益を得るには、ネットワークビジネスに参加して勧誘を行う必要があります。FDPは、単に仮想通貨(暗号資産)の運用だけに興味がある方には、向いていないサービスだといえるかもしれません。
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ファントムの値上がり益はほぼなし
Yahoo!知恵袋などには、2022年7月ごろから、FDPが詐欺ではないかと不安に感じる投稿が掲載されています。当記事執筆現在(2023年8月29日)、ファントムのレートは約30円を推移しており、2022年7月ごろとほぼ変わらない水準となっています。
画像引用:CoinMarketCap
FDP運営はファントムについて、「潜在的価格上昇幅は計り知れない、Ethereumを超えるとなると1,600倍以上」と説明しています。
FDPで1年間ステーキングすると、ファントムの価格上昇による利益も得られると勧誘しているようです。しかし、仮想通貨市場全体が低迷してしまったために、FDP参加者は期待していた利益を上げられていない可能性があります。
取引所経由より年利は高い可能性
FDPの公式サイトでは、ファントムのステーキング報酬を「年利6~13%」と記載しています。
ファントムは、Bybit(バイビット)やBinance(バイナンス)などの人気の仮想通貨取引所でもステーキングが可能です。当記事執筆現在(2023年8月29日)、主要な取引所のステーキング年利は以下の通りです。
仮想通貨取引所 | 詳細 |
---|---|
Bybit | 積立ステーキング:1.5%(*1) |
Binance | ・フレキシブル:0.7%(*1) ・期間固定(30・60・120日):1.0〜2.5% |
Gate.io | フレキシブルターム:0.88%(*1) |
(*1)ロックアップ期間なし
上記の通り、FDPでステーキングをすることで、利回りの面では取引所よりも有利になる可能性はあります。しかし、ステーキングの原資を1年間FDPに預ける形になるので、運営元のリスク等も十分確認する必要があります。
なお、ユーザー自身でファントムに直接ステーキングすることもできます。その場合、1年間のロックアップ期間を設定したステーキングの年利は6%、いつでも引き出せるステーキング年利は1.8%となっています。
イーサリアムをステーキングできる日本国内の取引所を解説
2023年7月時点、イーサリアムのステーキングに対応している日本国内の取引所に、SBI VCトレードがあります。そのほかBITPOINTも対応すると表明しています。
CDPとの関連性が指摘される
最近、AZEROという仮想通貨のステーキングサービス「CDP(Crypto Diffusion Project)」が始まり、SNS上でも言及されています。
このCDPとFDPの公式サイトが非常に似ていることや、CDP公式サイト内にFDP公式サイトへのリンクが多数確認できることから、運営元が同じ可能性があります。
画像引用:CDP公式サイト
SNSやYahoo!知恵袋などでのCDPの評判は悪く、「怪しい」「マルチ商法」といった批判的な声が多く投稿されています。
CDP(AZEROのステーキングサービス)は詐欺?ネットワークビジネスの仕組みに批判殺到
広く一般から資金を集めてAZEROにステーキングするサービス「CDP(Crypto Diffusion Project)」が登場しました。しかし、マルチ商法の仕組みを採用していることなどから、物議をかもしています。
FDPは詐欺?口コミなどで出金報告はあり
FDP(Fantom Diffusion Project)は、ネットワークビジネスの仕組みを採用しています。そのため、X(エックス)旧TwitterなどのSNS上では非常に評判が悪く、「怪しい」「詐欺」などと批判されています。
確かに、出資金額の60%または80%しかファントムが購入されないという点で、通常のステーキングよりも条件は悪いです。しかし、無事に出金できたという報告もあるようですので、ポンジスキームのような明確な詐欺とは断定できません。
ネットワークビジネスそのものに悪い印象
FDPの評判が悪い大きな理由として、マルチ商法(ネットワークビジネス)の仕組みを採用していることが挙げられるかもしれません。ネットワークビジネスでは、新規参加者を勧誘すると金銭的なメリットを得られます。
FDPをほかの人に紹介すればするほど、自身の取り分が多くなります。結果的に、積極的な勧誘が行われやすくなり、トラブルになることもあります。
ネットワークビジネスそのものは違法ではありませんが、一般的に詐欺などの悪いイメージが強いため、FDPもこの点が批判されています。
ステーキングの証拠提示あり
ステーキングをすると宣伝して資金を集めたにも関わらず、実際にステーキングを行っていなかった場合は詐欺にあたります。しかし、FDPでは「NoSleep」という名義で実際にステーキングを行っているという情報を提示しています。FDP運営がNoSleepの名称を騙っているのでなければ、実際にステーキングは行われていると考えられます。
マッチングアプリで勧誘との噂
Twitter上では、マッチングアプリでFDPやCDPの勧誘が行われていると匂わす投稿が見られました。マッチングアプリで仮想通貨(暗号資産)投資の勧誘を受けた事例は国民生活センターでも報告されており、問題になっています。
FDPやCDPが詐欺かどうかに関わらず、このような形式で勧誘を行っている点が、不信感を持たれる要因の一つになっているかもしれません。
出金できたとの報告もあり
FDPはCDPと違い、ロックアップ期間の1年間がすでに経過しています。そのため、X(エックス)などのSNS上では、実際に出金できたという投稿も見られます。
#FDP は1年ステーキングしたけど、
全て手放した
FDPもネットワークビジネスの1つバイナリーボーナスに
魅力はそこまでないと思った
そして、仮想通貨のギャンブル性は
結構高いTwitter – より引用
しかし2022年5月以前、ファントムは当記事執筆現在(2023年8月29日)のレートよりも高い価格帯で推移していました。そのため、2022年5月以前にFDPに参加した方は、ステーキング報酬を加味しても原資が目減りしている可能性が高いです。
Twitterの投稿時期(2023年3月26日)から見て、上記の投稿者はファントム価格が比較的高い時期にFDPに参加したものと思われるため、納得のいく結果にならなかったのかもしれません。
FDPのリスクやデメリットは?
FDP(Fantom Diffusion Project)には、ファントムに直接ステーキングする場合と比べて、以下のようなリスクがあります。
- 運営元が不明
- ネットワークビジネスで広告費が高い
- ロックアップ期間が長い
- 出金手数料が高額
運営元が不明
FDPでは、資金をFDPの運営会社に預けることになるため、運営会社が詐欺ではないか、信頼できるかどうかが非常に重要です。FDP公式サイトには、運営会社の情報は記載されていないため、投資する上での不安材料になります。
しかしYahoo!知恵袋では、FDPとは明記がないものの、「NoSleep」という会社を通じてファントムを購入しないか勧誘されたという投稿が掲載されています。
今日no sleepと言う会社を通じてPhantomを買わないかと誘われました。
ネットで調べてもno sleepの口コミが全く出てこなくて怪しいかどうかがわかりません。
Yahoo!知恵袋 – より引用
FDP公式サイト内にも、FDPと「NoSleep」に関連があることをうかがわせるような記載があるため、運営元はNoSleepなのかもしれません。
FDP公式サイトで「特にバリデート作業は、71社のバリデーターによって行われ、そのうちの1社がFDPというわけである。」と説明されています。このFDPのバリデーターとして表示される名称が「NoSleep」となっています。
画像引用:Fantom Explorer
しかし、No SleepはFDPの運営と直接的な関係はないという情報もあります。本当にNoSleepがFDPを運営しているのかどうか、その詳細は不明です。
ネットワークビジネスで広告費が高い
FDPはネットワークビジネスを採用しており、広告費用の割合が高くなっています。
広告費の割合が低い「投資家プラン」を選択したとしても、80%しかファントムの購入に回せません。1年間ステーキングして6%の利回りを受け取ったとしても、ファントム価格の上昇がなければ、原資割れを起こしてしまうでしょう。
さらに、新規参加者を紹介すると自分が儲けられるため、FDPのデメリットを隠し、メリットを過剰に称賛する形で紹介されている可能性もあります。
ロックアップ期間が長い
FDPは、一度契約すると1年間は資金を引き出すことができません。途中で解約する場合、プラン購入の10%を解約手数料として支払わなければなりません。
一般的にロックアップ期間が長いプロジェクトは、その間に運営が資金を持ち逃げしてしまうリスクがあります。また、投資している仮想通貨(暗号資産)の価格変動リスクもあるため、参加する際は慎重に検討する必要があります。
出金手数料が高額
FDPでは、出金手数料が10%と高額に設定されています。この出金手数料の一部は、紹介者が多いネットワークビジネスの参加者に支払われます。
そのため、紹介者が多い立場であれば、参加者の出金手数料が収入源となる可能性があります。しかし、ネットワークビジネスの下層に位置する参加者の場合、運用益よりも出金手数料の方が大きくなり、損失が発生する可能性があるでしょう。
まとめ
FDP(Fantom Diffusion Project)は、ネットワークビジネスの仕組みを採用しています。そのため、X(エックス)旧TwitterなどのSNS上では非常に評判が悪く、「怪しい」「詐欺」などと批判されているので安易に始めることはお勧めできません。
またステーキングサービスの中でも決して稼ぎやすいものでもありませんので控えた方がいいでしょう。
ネットワークビジネスを利用しているので、少なからず紹介しないと稼ぎづらい要素もあるはずです。
もし友人や知人に声をかけられたら気をつけるようにしましょう。